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東京電機大学 数学講演会

Tokyo Denki University Mathematics Seminar

2019年度

不定期に開催しています.講演によって 講演会場 (教室) や講演時間帯が変更となる場合があります ので,講演会に参加される際は各回の講演会場を良くご確認の上お越し下さい.また,講演会の世話人は毎回変わりますので,個別の講演会に関するお問い合せは担当の世話人宛にお願い致します.

今後の開催予定

2019年度の東京電機大学数学数学講演会は終了しました.講演者の皆様,ご参加いただいた皆様に厚く御礼申しあげます.

過去の講演会

2020年度の講演会の記録は こちら,2018年度の講演会の記録は こちら です.

第1回講演会     2019年6月14日 (金)   16:30 — 18:00 開催

講演会場

東京電機大学 東京千住キャンパス   5号館11階 51119B

講演者

中村勇哉氏  (東京大学大学院数理科学研究科)

講演題目

Rational point problem on singular Fano varieties

講演概要

有限体上定義された非特異ファノ多様体は有理点をもつというEsnaul氏の結果がある. この定理は, 変数が n+1 で次数が n 以下の斉次多項式は非自明な解をもつという, Chevalley-Warningの定理の一般化とみることができる. ここで生じる自然な疑問は「Esnault氏の結果は特異点をもつようなファノ多様体にも成立するだろうか」という問いである. 実際, Chevalley-Warningの定理には特異点の制約は一つもない. 今回の講演では, 極小モデル理論を用いたこの問へのアプローチを紹介したい.

世話人: 中島幸喜

第2回講演会     2019年6月19日 (水)   16:30 — 18:00 開催

講演会場

東京電機大学 東京千住キャンパス   5号館11階 51119B

講演者

清水達郎氏  (京都大学数理解析研究所)

講演題目

Bott-CattaneoのΘ不変量について

講演概要

Chern-Simons摂動論は,3次元多様体とその上の局所系の組に対する位相不変量の不変量を大量に与える. 不変量たちは次数付きで,その1次の部分はしばしばΘ不変量と呼ばれる. Chern-Simons不変量にはその構成にいくつかのバリエーションがあるが,本講演で扱うのはBott-Cattaneoによるものである. 彼らの不変量の構成にはギャップが存在する. 本講演では,Θ不変量に関してそのギャップを修正し,不変量をリファインする. この内容はA. S. Cattaneo氏との共同研究である.さらに高次の不変量についても簡単に述べる.

世話人: 佐藤正寿

第3回講演会     2019年7月2日 (火)   16:30 — 18:00 開催

講演会場

東京電機大学 東京千住キャンパス   5号館11階 51119B

講演者

森下昌紀氏  (九州大学大学院数理学研究院)

講演題目

3次元葉層力学系について

講演概要

葉層力学系は,Deningerの一連の研究において,数論的スキームの力学系的な類似として考えられた概念で,特に3次元葉層力学系(以下FDSと略)は数論的曲線に対応します. FDSは,Riemann面による2次元葉層と(有限個のコンパクト葉を除き)葉に横断的なフローをもつ3次元閉多様体です. 閉軌道(結び目)が有限素点,非横断的なコンパクト葉が無限素点に対応しています.この講演では, FDSに関するいくつかの基本的な結果を示します.

まず,FDSの構造定理を与えます.これより,FDSの分類定理が従います.我々の構造定理は, 3次元多様体のJSJ分解を想起させるものです. 次に,分類の各タイプに対し,FDSの例を与えます.(我々の研究以前は, FDSの例は円周上の曲面束の束葉層と懸垂流以外は殆ど知られていませんでした.) さらに,オープンブック分解を用いて,任意の3次元多様体がFDSの構造をもつことを示すことができます. これは任意の数体がZ_p拡大をもつことを想起させます. 最後に,FDS上のある滑らかな関数に対し,閉軌道と非横断的コンパクト葉におけるHilbert記号を導入し,相互法則を示します. これは,Riemann面の場合のBloch,Beilinson,Deligneの仕事のFDSへの拡張を与えます. また,閉軌道でのHilbert記号のトーラス上の積分公式を与えます. これは楕円曲線上のレギュレーターを想起させます.

以上はJunhyeong Kim氏,野田健夫氏,寺嶋郁二氏との共同研究です.

世話人: 植木潤

第4回講演会     2019年7月4日 (木)   17:40 — 19:10 開催

講演会場

東京電機大学 東京千住キャンパス   5号館2階 50203

講演者

本多周太氏  (関西大学システム理工学部)

講演題目

ナノサイズ磁石のデバイス応用と磁化状態計算法

講演概要

ナノサイズ磁石をスマートフォンのメモリに用いればバッテリーの持ちが飛躍的に長くなるなどの利点があり,磁石を用いたメモリの研究が盛んに行われている。 磁気メモリの実現のためには磁石のN極S極の向き(磁化の向き)を省エネルギーで高速に制御するなどの課題がある。 磁化の解析法の一つに電磁気学に基づいたシミュレーションがある。 シミュレーションでは磁化状態を求めるために磁化の空間積分や微分方程式,高速化として離散フーリエ変換を用いる。 これら大学初等的数学と電磁気学の組み合わせで最先端のデバイス研究が可能になる。 本講演では磁化のシミュレーションを用いた研究成果やシミュレーション内での物理現象の解析・計算にどのように数学の手法が使われているかを紹介する。

世話人: 原田新也

第5回講演会     2019年7月12日 (金)   16:30 — 18:00 開催

講演会場

東京電機大学 東京千住キャンパス   5号館11階 51119B

講演者

山田一紀氏  (慶應義塾大学大学院理工学研究科)

講演題目

リジッド兵頭・加藤理論と p 進ポリログについて

講演概要

対数リジッドコホモロジーと de Rham コホモロジーを結びつけるリジッド兵頭・加藤写像の新しい構成を紹介する。 この写像は素元の取り方と p 進対数関数の分枝の取り方に依存している。また、具体的な計算や係数付き理論への一般化が比較的容易という利点がある。 さらに応用として、Tate 曲線の p 進ポリログの定義と具体的な計算結果についても紹介したい。
本講演内容は Veronika Ertl 氏との共同研究により得られたものである。

世話人: 中島幸喜

第6回講演会     2019年7月18日 (木)   14:00 — 15:30 開催

講演会場

東京電機大学 東京千住キャンパス   5号館11階 51119B

講演者

高津大樹氏  (東京工業大学)

講演題目

On the geometry of singular K3 surfaces with discriminant 3, 4 and 7(ディスクリミナント 3,4,7 をもつ特異K3曲面の幾何について)

講演概要

任意の特異K3曲面の自己同型群は無限群になるという塩田氏、猪瀬氏の結果がある。その中でも、自己同型群の構造が決定されている例が11例知られており、重要な具体例を提供している。 本講演では、上記の11例のうち3例(discriminantが3,4,7となる特異K3曲面)の射影平面の二重被覆による構成を紹介する。 また、この構成を一般化することで無限自己同型群を持つK3曲面の3次元のモジュライ空間を得たので、その構成についても紹介したい。

世話人: 藤澤太郎

第7回講演会     2019年10月2日 (水)   16:30 — 18:00 開催

講演会場

東京電機大学 東京千住キャンパス   5号館11階 51119B

講演者

片岡武典氏  (慶應義塾大学理工学部)

講演題目

楕円曲線の同変岩澤理論

講演概要

有理数体上の楕円曲線に対する岩澤理論の,講演者による可換同変的な拡張を紹介する. 具体的には,まずSelmer群や pL 関数を考察し,それらの関係として同変主予想を定式化する. 次にEuler系の理論を用いて,その主予想の半分をいくつかの仮定の下で証明する. 最後に応用としてMazur-Tateの予想を部分的に証明する.これらの結果は従来の結果を精密化している.

世話人: 千田雅隆

第8回講演会     2019年10月29日 (火)   17:30 — 19:00 開催

講演会場

東京電機大学 東京千住キャンパス   5号館11階 51119B

講演者

合田洋氏  (東京農工大学大学院共生科学技術研究院)

講演題目

結び目の体積公式とゼータ関数

講演概要

本講演ではまずねじれアレキサンダー多項式を定義しそれを用いた双曲結び目補空間の体積公式を紹介します。 そしてさらにねじれアレキサンダー多項式は結び目ダイヤグラムから得られるグラフの伊原−セルバーグタイプのゼータ関数とみなせることを示し、体積公式の拡張について議論する予定です。

世話人: 植木潤

第9回講演会     2019年12月3日 (火)   17:25 — 18:55 開催

講演会場

東京電機大学 東京千住キャンパス   2号館10階 21004

講演者

小林和博氏  (青山学院大学理工学部)

講演題目

数理最適化の応用事例 〜ネットワーク最適化,推薦システム etc.〜

講演概要

数理最適化とは,数式で表現された制約のもと,同じく数式で表現された目的関数を最適化(最大化,最小化)する技術の総称である. そこで用いられる数理は,線形代数,解析,確率・統計など,多くは大学初年度で学ぶ基礎的なものである. 数理最適化は,経路探索,ショッピングサイトでの「おすすめ」の導出など,日常生活で接する様々な場面でバックヤードの技術として活躍している. 本講演では,初年度で学ぶ数理科目の内容が,産業界でどのように組み合わされ,活用されているかを紹介する. 特に,輸送計画における線形計画,避難計画における最大フロー問題,動画配信サイトにおける行列分解などを取り上げる予定である.

世話人: 植木潤

第10回講演会     2019年12月13日 (金)   16:30 — 18:00 開催

講演会場

東京電機大学 東京千住キャンパス   5号館11階 51119B

講演者

久野雄介氏  (津田塾大学学芸学部)

講演題目

Goldman-Turaev Lie双代数の形式性について

講演概要

Goldman-Turaev Lie双代数とは、向きづけられた曲面上の閉曲線のホモトピー類の張るベクトル空間の上に定められたLie双代数のことである。その構造は曲線の交差と自己交差によって記述される。Goldman-Turaev Lie双代数について背景と共に紹介した後、このLie双代数の形式性と呼ばれる性質を説明する。形式性を証明するために、Alekseev-Torossianによる柏原-Vergne問題の再定式化(2012)と我々が導入したその高種数版が用いられる。以上の内容は A. Alekseev 氏、N. Kawazumi 氏、F. Naef 氏との共同研究に基づく。

世話人: 佐藤正寿

第11回講演会     2020年1月22日 (水)   16:30 — 18:00 開催

講演会場

東京電機大学 東京千住キャンパス   5号館11階 51119B

講演者

大川領氏  (早稲田大学基幹理工学部)

講演題目

(-2)爆発公式

講演概要

この講演では, アフィンA1ディンキン図形に対応するADHM dataのモジュライを考える. これらは, 安定性条件の取り方に応じて, (-2) 曲線, あるいは群作用付きの平面上の枠付き連接層のモジュライとなる. これら2種のモジュライ上の積分は, それぞれ組合せ論的な記述をもち, 特に(-2) 曲線上ではNekrasov関数の広田微分がえられる. これら2種のモジュライ上の積分が, ある場合に等しくなること, またそれに応じた関数等式について紹介する. これは中島-吉岡による爆発公式の類似と考えられる. また, Bershtein-ShchechkinによるPainleve tau functionの研究との関係についても触れたい.

世話人: 池田京司

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