3-2:真珠湾攻撃/原爆投下の受け止め方
歴史の解釈が多様であることは言うまでもありません。そして真珠湾攻撃や原 爆投下といった第二次世界大戦前後の「史実」に関しても、国家がそれなりの解 釈を施し、歴史の教科書として国民に教え込むことも可能です。
日本では真珠湾攻撃を『奇襲』と取りますが、米国人にとっては宣戦布告もせ ずに、いきなり攻め込んだsneak attack と思われ、何か公正ではないと判断さ れています。 Remember Pearl Harborと戦後半世紀が経った今日でも相変わらず 口にされる現状を、私たち日本人は理解しておく必要があるでしょう。
また米国では戦後長年の間、小学校/中学校/高校そして大学の教科書にまで 『戦争終結を早め、アメリカ人兵士はもとより、本土決戦で戦争に巻き込まれる 日本人の命までも救う目的で原爆が投下された』と記されていました。 真珠湾 攻撃は事前に察知されていたという説や、原爆投下は冷戦後への布石であったと いう説もこれと平行して含まれるようになったのは、ここ十数年のことでしかあ りません。
それでは現在の高校生や大学生はどのような受け止め方をしていて、どんな perception gapを持っているのでしょうか。 それを調べるために真珠湾攻撃と 原爆投下に対する質問を設けてみました。
その結果「真珠湾攻撃はずるい戦術であった」という捉え方は日本で4割に近 く、米国でも6割近くになっています。日本では大学生が「決してそうではなかっ た」と半数近く感じているの対し、半数の高校生はどのように解釈してよいのか 戸惑っているようです。『わからない』と回答した者の日米の差は1割程度で、 総体的にはこの件については、perception gapがほとんどないといえるのではな いでしょうか。
Do you think bombing Pearl Harbor was a sneak attack?
原爆投下に関しては、日本側の受け止め方ははっきりとしていて、原爆が戦争 の早期決着に貢献したという考え方には否定的であることが読み取れます。 米 国では rural schoolであるNW高校では、真珠湾攻撃はきたなく、原爆は戦争早 期終結手段として必要であったという説の支持度が高いのですが、学園町にある I高校や大学では、そのような古典的な解釈の受け入れ度が減少し、その分「そ うは思わない」「わからない」に回っているという結果になっています。 総じ て言うと、戦争終結に原爆は不要であったとの見方には日米間に大きな相違があ ることが明らかです。
希望取得学歴別には、両件に共通して両国とも取得希望学歴が高くなるほど、 「真珠湾攻撃がずるい」「原爆は早期終結に必要であった」と思う回答者が減り、 「わからない」と感じる者が最も多くなっています。 様々な情報に触れれば触 れるほど、歴史の解釈など簡単にできないといった事情が浮かび上がってくよう です。
男女別では「わからない」を選ぶ比率が女性に多い事がはっきり出ています。 また、現在の米国の高校生にとってwarはベトナム戦争を意味する度合がますま す増えているので、この点でも今後はこれに関する質問に「わからない」と答え る者が多くなることが予想されます。
Do you think Atomic Bombs were necessary to
terminate the war?
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