C、教育に関する国際比較
4-1: 分野 / 成績 / 希望学歴
「関心のある分野」では、日本の高校生が現状と一致した分野を、将来進める 分野と規定している点が興味深いところです。 高校入学時に「入れる高校」へ 振り分けられた結果、その高校が構造的にもつ流れに乗らざるを得ず、そこにし か「関心のある分野」が見い出せないといった現状が意識にも反映しているので しょうか。
理系/文系という分類法が日本ではまだ通用しますが、米国ではそのような二 分法では既に対応できないほど多様な教育機会が提供されています。 「その他」 を選んだ米国高校生がNW校で3分の1、I高校では43%にまでのぼることでも容易 に、そのような現状が推察できます。 今後日本でも従来の二分法ではなく、学 際的な方向へますます移行していくことが期待されるところです。
Japan
US
理系(science/ math)
161
124
文系(humanities/ social science)
181
132
専門技術教育(vocational/ technical education)
144
68
その他(other)
58
128
「学校での成績」では、高校以上では両国とも絶対評価が行われているにもか かわらず、同じベルカーブでも、米国の方が自らを中位以上と位置付けている割 合が高いことが分かります。 日本では「やや下位」「下位」とした者が3分の 1に達していますが、米国ではその比率が半分以下になっています。 また、 「ほぼ上位」とした者は、米国では日本の2倍にも達しています。 「ほめる」 ことを全面に出すのが、アメリカの教育の一つの特徴ですが、成績が全体平均よ りも上であるという意識を植え付けることは、個人の学校教育に対する肯定的な 態度や意識の形成に重要な要因と考えられます。
How would you evaluate your overall academic performance?
「取得希望学歴」においては、日米で顕著な違いが「大学院進学希望率」に現 われています。 今回の日本での調査高校に「進学校」を含めれば、これほどの 差異(日本2%、米国34%)は出なかった事も予想されますが、rural schoolで あるNW高校でも28%に登っていること、また日本的な尺度では「中の下」となる M公立大学でも3分の1以上の学生が大学院進学を希望していることは、それだけ 米国における大学院の門戸が広くなっていることも実証しています。
また、一方、I高校では9割が大学進学を希望し、その半分が大学院進学希望 であるというのは、学園町にあるという社会的背景と無縁ではないでしょう。
いずれにしても、大学院教育を身近な目標と捉えているアメリカの学生と、大 学院教育を高校生の段階では具体的にイメージできない日本の学生との間には、 教育に関する意識に大きな差異が存在することは明らかです。